2011年11月25日金曜日

Trade off の標準対訳

ISO/IEC 15288 の対訳版であるJIX x0170に
"Trade off "がありました.カタカナで,トレードオフ・・・・

なんとこっちゃわかりません.

説明は
利害関係者にとっての実質利益を基本に,さまざまな要求及び代替解決策から選定するという意思決定行為.

そのままです.

はい.

第二回目のSE記事です.

http://www.yy.ics.keio.ac.jp/issj-mm/mm06/08/mm0608-3-hq.pdf


毎月原稿書くって結構大変・・・・・

そのうち,研究員や学生のみなさんにもお鉢が回ります.
がんばってくださいませ.

2011年11月14日月曜日

VPM pp.16-

好機とリスク


=====(嶋津コメント)=======
"Opportunity"に対する"好機"はPMBOKを参照しました.
BABOKでは,"機会"です.

ISOで統一してほしいモンです.ったくぅ.
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プロとしての雰囲気が醸成されるにつれ,局所最適化が必要になります.
プロジェクトの実践者たちは,プロ同士の協力が勢いづく時期に,
自分の好影響を広げるにふさわしく,
知識を高め,
技能を磨き,
自身の経歴を一歩進めるにふさわしい
好機を狙っています.

一方,本書ではこういう意味ではありません.


悪い慣例は定着しやすく,壁は簡単に作られる.

ビジネススクールとエンジニアリングスクールの切り離しは,
高等教育を行う大学や研究機関等ではじまりました.

新卒のエンジニアは,エンジニアリングの環境に配属され,他のエンジニアに囲まれて自分の立ち位置を決めていきます.

ちょうど,MBAを取得した人が,経営の非技術分野に配属されるのと同様です.

さらに,エンジニアリングとビジネスを担う担当者は,
多くの場合異なる建屋(もしくは離れたキャンパスや敷地)で仕事をします.

経営と技術の協業は,今のところ,必要性が強調されたり,そのための設備が用意されたりはしていません.

専門分野間の壁は,大きくなっています.
多くの企業では,組織構造は第二階層までは,技術と経営を切り離してマネジメントしています.
このため,技術系から経営系,もしくはその逆に経歴を繋ごうとすると,それまでの実績を捨てることになります.

従って,技術を専門にする担当者と,経営を専門にする担当者は,それぞれ別に顧客と折衝することになります.この場合,専門家同士互いを信頼しているけれど,顧客とどのようにコミュニケーションをとっているかは,実際は分からないわけです.

製造物の満足度が低い時など,互いに理解してきたことを交換したりすると,顧客からの「感謝が足りない」原因を特定できたりします.

過去の悪い慣例を取り除くことは,これらを認識することから始まります.


壁を壊す―協業と統合が作る未来


プロジェクトマネジメントとシステムエンジニアリングを統合することで,
プロジェクト活動を通して経営駆型技術選択を実現させる方法は
新しいものではありませんが
学界や,政界や,市場の場で,
新たな株式や投資を受け取ることです.

=====(嶋津コメント)=======
つまり,どういう方法だったら,人がお金をはらってくれるか,投資という方法で応援してれるか,技術者も考えなさいと言うことです.
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いくつかの高名な大学では,MITやスティーブンス工大やスタンフォードがそうですが,
プロジェクトマネジメントとシステムエンジニアリングの調整プログラムを
を提供していたり,積極的にその準備をしています.

INCOSEが提供するシステム・エンジニアリング専門家,同証明(certification),
同承認(recognition)は,よく検討された成長戦略になっています.
システムエンジニアリングの役割を明らかにし,その意義を認識するようにできています.

=====(嶋津コメント)=======
これは,みなさんご存知の,ASEP CSEP ESEPのことです.
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SEIは,組織システム開発プロセスの成熟度をアセスする
そして
これまでに述べた統合作業プロセスをプロジェクト体質としてだけでなく,
全社的な文化として定着させるための
フレームワークを提供しています.

さらに
SEI-CMMIは,エンジニアリングマネジメントの専門性とプロセスを混ぜ合わせることを推奨しています.

本書の最大の目的の一つは,個々人における幅広い協調作業と専門分野間の協調作業を
奨励することです.


この変化は,研究機関における歴史的な壁を取り払っていっているが,
真の変化の役割を担うものは,この本の読者,そう,君たちです.

キミたちは,複雑なシステムを極めるための技能を得ることだけではなく
事業の成功 (the payoff) を実現することに,強い歓心があるのだからね.


事業の成功: 実績の向上

=====(嶋津コメント)=======
"performance""はPMBOKでは実績
BABOKでは,"性能"もしくは"パフォーマンス"です.

めんどくせっぇぇぇぇぇ.
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ほぼ最大限の生産性の改善策は.
慣例上の技能訓練や,パソコンやナレッジマネジメントの資産増強
に基づいて
これまでに述べてきました.

プロジェクトマネジメントと,システムエンジニアリングと,プロセス改善の統合は
プロジェクトの実績を向上させ,昇進を約束する
将来のトレンドとして,広く認識されつつあります.

前向きな考え方をする組織は,
これを前提として新たな屋台骨据えています.

このことは21章で焦点を当てています.

=====(嶋津コメント)=======
どうしても,アメリカ人は,
どうやったら昇進できるか.
お金持ちになれるかということにプライオリティがありますね.

わたしは次のセリフが好きです.

金を残すは下.
仕事を残すは中.
人を残すは上.

人のために生きる人生って悪くないと思っています.
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2011年11月13日日曜日

ロジカルシンキング: 帰納・演繹・アブダクション


ずっと更新しないでごめんなさい.


今日は,ロジカルシンキングについて書いておきます.


現在の修士の学生さんの中で,論理的に思考や文章を展開するのが極めて苦手な方がいます.


そういう人に限って,他人の非論理性はとても気になっているようにも見えます.


科学的な発見や,論証は,ロジカルシンキングの基本である推論による論理展開で実現されてきました.


科学とは、観察で得られた証拠にもとづき、
人間、社会、自然の現象を原理的に説明する仮説の体系です。
仮説には、法則や公理などの理論があります。
科学の体系は、仮説実証法によって組み立てられます。

仮説実証法のプロセスが研究には必要不可欠なのです。


研究には,この論理的推論力が必要です.
「しかるに,自分の主張は妥当性がある」というとき,
それが,論理的に成立しているかどうかは,
帰納的,演繹的,アブダクション的のいずれかで成立しているかどうかです.






「だって,わたしはそう思うもん」的主張に出くわし,オタオタすることが最近多いです.


そこで,今回レビューしておきます.


情報システム学会のメルマガに芳賀正憲氏がとてもわかりやすく解説されていますが,
ここでは,もっと優しく書きます.


公理等の規則と,事例から結果を導きだす推論が演繹
これは簡単ですよね.


事例と,結果から規則を導きだす推論が帰納
これもちょっと考えたらすぐわかる.


で,何かを思いつく,発見的な推論が,アブダクションです.
規則と結果から事例を導きだす遡及的推論型・仮説形成型の推論ということになります.


演繹,帰納,アブダクションの順でもう少し詳しく振り返りましょう.
有名な三段論法が,演繹の代表ですよね.



人間は死ぬ            :規則
ソクラテスは人間である。   :事例
よって、ソクラテスは死ぬ   :推論結果


修士研究のテーマ発表をきいていると,演繹のつもりで,
実はまったくはちゃめちゃな論旨展開をしている例を多く見ます.

問題は出発点である公理等の規則です.
普遍性の高い公理から出発している議論であれば問題ないのですが,
事例から出発しているのに,演繹的展開するストーリーが多いのです.

具体的には.
「わたしはこういう経験をしました.(チャライのは桂太)」
「僕はこういう経験をしました.(晃平はチャライ)」
よって,晃平は桂太である :?????

こんな論理展開です.
こう書くと,まったくおかしな推論であることがわかりますが,
結構みなさん修士研究ではやっちゃっています.


先頭にくるものは,普遍性や規則性の極めて高い”事実”です.


誤解しないでくださいね.
特定の事例から,議論が出発し,意味のあるやり取りや問題解決への展開って重要です.
例えば,ニュースの報道とそれに対する解説や論評です.

ただ,これは”研究”ではないのです.

研究と,解説や論評は,論理展開が異なります.

それらをごっちゃにしている修論発表をよく目にします.



では,帰納.

ソクラテスは人間だった。   :事例
ソクラテスは死んだ      :結果
よって,人間は死ぬ      :規則発見

これをみるとわかるように,
ひとつの事例では,
結果に照らして普遍性のある規則が生成されるとは限らないことがわかります.
じゃぁいくつ事例があれば,規則は有用性があるか.

この議論は,確率統計の最もベースになるものです.

人工知能研究における,machine learning algorithmでも,
結果に対し 検定を行います.



そして,
アブダクション.

日本語でなんて言うのか,わたしは知りません.

deduction, induction, abduction です.


人間は死ぬ:規則
ソクラテスは死んだ:結果
ソクラテスは人間だった:事例発見

これは,わかるように,他の要素(規則や結果)追加すると
発見結果の信用性が危うくなります.

あくまでも”仮説(hypothesis)”生成器であることがうなづけます.
したがって,検証する必要があるのです.


さて,演繹はアリストテレスで有名ですが
アブダクションは,アメリカの数学者(哲学者、記号学の確立者、数理論理学の先駆者)、
パースが、提唱しました.

人間の推論思考を数学式で表現できるようにしたのです.
わたしは,鳥肌が立ちました.

で,彼が主張するところによると
帰納も演繹も実はアブダクションにもとづいたもので、
3つの推論方法は本来は総合的にはたらきものだということ.
何かを発想したり、思考を始めるときには先ずアブダクションをし、
仮説を形成しながら推論しているとしました。
つまり,上記の事例発見である「ソクラテスは人間だった」を形成し,
またべつの仮説を形成し,
それをくりかえしてものを考えているということです.

しかもアブダクションは、東洋の思考法に多く見られる傾向があるとも主張しています.

システムシンキング,論理思考という看板を掲げる前に,
まず,その主張,ほんとに論理的ですか?

いったん立ち止まって確認してみましょう.